一口に奨学金といっても様々な種類がありますが、貸与される時期は奨学金によって異なります。タイミング次第では、入学金や初年度の授業料(初年度納入金)に間に合わないので、資金繰りが苦しくなってしまうケースがあります。
日本学生支援機構から貸与される第1種奨学金や第2種奨学金は、原則として毎月11日に振り込まれますが、入学した年の4月分については、多くのケースで4月分と5月分を合算して5月16日に振り込まれるという形になります。入学後1ヶ月半が経過していますので、入学金や初年度の授業料に間に合わせることは不可能です。
日本学生支援機構の中には「入学時特別増額貸与奨学金」という制度があり、入学月に振り込まれる金額に10万円から50万円を上乗せして貸与してもらうという制度もありますが、こちらを利用したとしても、初回の振込み出来は同じく5月16日です。入学金に充てられそうな名称なのですが、実際には間に合わないので注意が必要です。
日本政策金融公庫が貸し出してくれる国の教育ローンは、最大で1人当たり350万円という大きな金額を、早い時期にまとめて借りることができます。それだけの高額であるにもかかわらず、無担保で借りることができ、金利が低めの固定金利(年利2%程度)であることから、その他の奨学金や教育ローンと比較しても良心的であると言えます。また、世帯年収が200万円以内の場合は優遇されるという制度もあります。
ただし、国の教育ローンは審査の基準が厳しく、通りにくいという難点もあります。単純に年収による審査だけではなく、支払能力があるかどうかという意味で、勤務状況や公共料金の支払い状況などもチェックされます。
例えば、収入基準は満たしていても、水道料金の支払いに遅延などがあれば、審査に落ちてしまうこともあるのです。そのため、国の教育ローンを入学金に充てようと考えていて、審査落ちし、入学金が払えなくなってしまうというケースも多々あります。
民間の教育ローンも入学金に充てられる
国の教育ローンの審査に通らなかった場合は、民間の教育ローンを利用するという方法があります。民間の教育ローンは、融資までのスピードが早く、手続きも難しくありません。そして、国の教育ローンと比較すると審査は優しくなります。ただし、金利は国の教育ローンに比べるとかなり高めになります。民間の教育ローンは大きく分けると銀行系の教育ローンと信販系の教育ローンに分かれます。銀行系の教育ローンの場合、年利3%から5%程度です。信販系の教育ローンの場合、年利は5%から10%程度です。年利が高くなるほど審査は優しくなり、年齢が低くなるほど審査が厳しくなります。
大学や専門学校が入学者に対して独自で貸与や給付をしている奨学金制度もあります。こちらは、学校ごとに条件や振込みの時期が異なります。入学金に充てることができるかどうかは志望校のホームページやパンフレットなどで確認する必要があります。入学金が免除されるタイプの奨学金制度や特待生制度であれば、そもそも「お金を準備する」という必要がなくなります。このような制度があることを知らずに入学して、入学した後で「学費免除の条件を満たしていたのに通常通り支払をしていた」ということが発覚するケースもあります。申請のタイミングを逃せば、学費が免除されたり、奨学金が給付されたりすることはありませんので、自身の志望校に自分が受給する条件を満たしている奨学金や特待生制度がないか、必ず確認しておきましょう。