奨学金は、特定の大学への進学が決定してから申し込むという種類のものもあれば、進学先が決まっていなくても申し込むことができる予約採用のシステムを持っているものもあります。最も利用者が多い奨学金である日本学生支援機構の第1奨学金や第2種奨学金も、予約採用のシステムを取っています。もちろん、在学採用のシステムもありますので、入学した後で申し込むことも可能ですが、進学をする予定があり、奨学金を借りる可能性があるのであれば、積極的に予約採用の段階から申し込みをしておくべきです。
高校在学期間中に申し込む日本学生支援機構の予約採用は、採用されるかどうかの審査が平等に行われるというメリットがあります。入学後に申し込む在学採用の場合、大学ごとに日本学生支援機構から与えられている奨学金の採用人数の枠が決まっています。その採用枠に収まる人数しか採用できないため、平等な審査にはなりません。大学によっては、過去に滞納率が高いなどの理由で採用人数が減らされている場合もあります。
予約採用であれば審査に通る学生も、特定の大学への入学をしてから審査を受けた場合審査に落ちてしまうということも考えられます。また、奨学金の予約採用はキャンセルをしてもペナルティやキャンセル料を取られるということはありません。大企業でも倒産する可能性がある昨今の経済状況では、どんなご家庭でも100%収入が安定し続けるという保証はないでしょう。「万が一に備えて奨学金を借りるスタンバイをしておく」という意味で、進学希望者はとりあえず申し込んでおくという事を勧める高校もあります。
日本学生支援機構の奨学金の予約採用募集開始は、高校3年生の5月から6月頃です。審査の結果、採用されるか採用されないかという決定通知が届くのは10月の下旬頃です。そして時期を同じくして10月から11月頃に2回目の予約採用の募集が開始されます。1回目の予約採用の段階で奨学金を利用するつもりがなかった人に急遽、奨学金の必要性が生じて申し込む場合や、第1回目の予約採用で不採用になった方の2回目のチャレンジという場合、2回目の予約採用を利用します。1回目の申し込みも2回目の申し込みも、在籍している高等学校を通じて申請する形になります。それぞれの時期に高校の進路指導部から奨学金の予約採用に関するアナウンスがあるはずですので、それを待ちましょう。募集開始時期になってもアナウンスがない場合は、高校の指導部を訪ねてみてください。
前項目でお伝えしたように、日本学生支援機構の奨学金の予約採用は1回目と2回目に分かれています。では、1回目の予約採用と2回目の予約採用ではどちらの方がおすすめなのでしょうか。
結論から言えば、1回目の予約採用で申し込んでしまうのがおすすめです。理由は2つあります。1つ目の理由は1回目の予約採用で不採用になったとしても、2回目に申し込むことができ、さらに、2回目で不採用になったとしても進学先の学校で在学採用にチャレンジすることができるためです。1回目から申し込むことによって、合計3回の採用チャンスがあるということです。
また、「入学時必要資金融資制度」という、日本政策金融公庫が行っている制度があります。これは、日本学生支援機構で受給が決定している金額を上限として、入学金に充当できるように前もって貸付をしてくれる制度です。2回目の採用結果が通知される2月下旬では、この申請が間に合いません。そのため、10月下旬には決定通知が来る1回目の予約採用の方がお勧めなのです。